ベータ・インサイト (2021年2月8日号)

ベータ研究所代表の川上泰弘です。

 

皆さん、今後6か月の市場動向はどうなると思われますか。

 

「お金が借りやすい状況が続き、政府の景気刺激策との兼ね合いで大きく成長するのではないか。」という楽観的な方や、「コロナ禍終了に向かって、期待感が剥落して、株価が落ち着き若干下落するのではないか。」という慎重派な方、もっと進んで、「すでにバブルなのではないか。大きく下落することがあるのではないか。」という悲観的な方などなど、様々な意見があるかと思います。

 

私は、今後6か月では、基本的に1番目の楽観的な見方をしています。

 

ブルームバーグによると、2月6日現在、米国では一日当たり約136万人の方がワクチンの接種をしています。バイデン大統領の目標は一日150万人の接種と言われています。現在のちょっと遅めの一日当たり約136万人のワクチン接種だと、全米の75%の方々が、必要となる2回の接種を受けるのに11か月程度かかると推計されています。

ここで時間がかかる要因となるのが、モデルナ社のワクチンも、ファイザー社&ビオンテック社のワクチンも、アストラゼネカ社のワクチンも、どのワクチンも数週間ほど間を開けて2回のワクチン接種が必要ということです。

 

日本ではまだ医療関係者を含めてワクチンの接種は始まっておらず、またどの程度の早さでワクチンの接種を普及できるかがポイントになってきます。医療関係者のワクチン接種開始から、ワクチン普及までやはり数か月程度の時間を要することになると推測されます。

 

目を世界に広げると、全世界では、一日当たり約460万人の方がワクチンを接種していますが、このスピードは遅いです。全世界の人口の75%の方が2回のワクチン接種を受け終わるのに6.8年かかってしまう計算です。

いかにワクチン接種の普及スピードを速めるかが課題になってきます。

(出所:https://www.bloomberg.com/graphics/covid-vaccine-tracker-global-distribution/

 

さて、そのようなコロナ禍で皆さんがご苦労されている状況の中、各国の中央銀行が金融政策を転換させるのはまだ先だと考えています。このため、しばらく企業や政府がお金を借りやすい状況が続くわけです。加えて、コロナ禍で影響を受けている産業を中心に、コロナ禍の終焉が見えてくると、これまでの我慢してきたことに対する反発が相当程度予想されます。

この反発がどの程度あるか、株式投資などリスク性資産へ投資をされている方々にとって楽しみな局面だと考えています。

 

2021年1月に国際通貨基金(IMF)の発表した世界経済の見通しによると、2019年第4四半期(2019年9月から2019年12月まで)のコロナ前の水準にまで回復するのが、先進国で2021年第3四半期(2021年6月から2021年9月まで)ぐらいまでかかるのではないかと予測しています。これは、先ほどのワクチン普及までの時間とも大体同じです。

 

仮にコロナ禍の終焉が見えてくるとして、そのあと、我慢を重ねてきた人々が旅行や外食などをより積極的に楽しむだろうとお考えの方は、ご自身の取れるリスク量と現在の保有資産を踏まえた上で、追加のご投資など考えられてもいいかもしれません。ここで、何に投資をするかがやはり投資のパフォーマンスに影響を与えます。

ご参考までに、先ほどの国際通貨基金(IMF)の世界経済の見通しでは、2021年は、米国が5.1%成長をし、EUが4.2%成長、日本が3.1%成長を見込んでいます。

 

IFAは皆様のご状況を踏まえたご投資の機会をご紹介することができますので、是非お気軽にお問い合わせフォームよりお尋ねください。

 

今後も不定期ではありますが、引き続き投資に関するお話をご紹介していきます。お楽しみに。

 

(川上泰弘, CFA, FRM)